靴修理方法の解説

  • どんな方法で、貴方の大切な靴が修理されるか知ってますか?

    ここでは、代表的な修理作業を解説します。

    一般の方は修理作業は御存知ないと思いますし、どの様な修理をするのか心配される方も少なくありません。そこで、当店の修理作業を写真を使って簡単に説明させて頂きます。また、お客様から御要望の多い御自分で確認できる、靴健康診断チェックポイントもまとめます。

    代表的な靴修理作業

    スポーツシューズのかかと(その1)
    日常生活の中で出番が多い靴ですが、履きやすさを優先するので、かかとは削れやすい材料で製造され、寿命は短いです。更に、購入価格も安くなっていますので痛んだら買い直すのが普通と思われるかも知れませんが、実際は修理に持ち込まれる方は多いです。
    スポーツシューズのかかと(その2)
    日常生活の中で出番が多い靴ですが、履きやすさを優先するので、かかとは削れやすい材料で製造され、寿命は短いです。更に、購入価格も安くなっていますので痛んだら買い直すのが普通と思われるかも知れませんが、実際は修理に持ち込まれる方は多いです。 この場合は、土台まで削れている状態です。
    高級紳士靴のかかと(土台まで削れた状態)
    革底の高級紳士靴ですが、かかと部分が土台まで削れてしまっています。この土台部分が削れる状態で平気で歩いている方が多いですが、異常な状態ですので早く修理を依頼して下さい。
    婦人用カジュアルシューズのかかと
    直せないと思われている方が多いですが、案外修理できます。特に女性用靴は底・かかとが薄いので、早め早めの修理を御依頼して頂ければ、手遅れにならないのでお薦めです。
    紳士靴(ショートブーツ)のハーフソール(滑り止め)
    紳士用ショートブーツは、耐久性・デザイン性の向上の為にグッドイヤー製法又は、マッケイ製法で製造されているのが普通です。靴底に縫い目があればグッドイヤー製法、或いはマッケイ製法です。両方とも縫い糸が切れてしまうと、底が剥がれる事は同じです。底が剥がれるのを防止、つまり糸が切れるのを防止する為に、靴底にラバーハーフソール或いは革ハーフソールを貼るのが一般的です。
    紳士靴の革ハーフソール
     

     

     

     

     

    婦人靴(パンプス)のハーフソール(滑り止め)
    お客様が婦人用靴、特にパンプスのハーフソール貼りに求られる事は

    ①全体のシルエットを崩さない
    ②コバが見た目に目立たない
    ③簡単に剥がれないです。

    その為に、当店は多くのハーフソールを用意していますし、シルエットを崩さない様に腕を磨いています。

    婦人靴のヒール革巻き替え(スムース革、エナメル革)
    つま先と同様に、どうしても痛んでしまうヒール部分の修理です。ヒール部分を本体から外し、古い革と新しい革を巻き直し、組み立てます。オプションで革の色を基本色以外に変更する事も出来ますので、ブランドの限定色であっても大半は可能です。
    S字フック(金具)の交換修理
    婦人用パンプスに良く見かけるベルトを止める金具です。(金具の形がS字になっているので、S字フックと言います。)この金具は比較的壊れやすいのですが、交換出来る事を御存じない方が多いです。
    アンクル婦人靴の革切れ修理
    エナメルでアンクル付きのデザインは、やはり人気があります。しかし、アンクルの取り付け部分が裂ける事があります。一度裂けると、中の芯まで切れているので、縫っただけでは直らない事が多いです。
    紳士靴のすべり口修理(かかと上部の修理)
    靴べらを使っていると成り難いのですが、一度痛むと中から芯が出てきたり、どんどん革が裂けたりしますので、お気に入りの靴であれば早めの修理をお薦めします。修理方法は簡単で、上から革を巻いて縫い止めます。その際にオプションで、芯・スポンジ等も交換・補強出来ます。
    紳士靴のすべり革修理(かかとの革破れ修理)
    靴べらを使っていると成り難いのですが、一度痛むと中から芯が出てきたり、どんどん革が裂けたりしますので、お気に入りの靴であれば早めの修理をお薦めします。修理方法は簡単で、上から革を貼って縫い止めます。その際にオプションで、芯・スポンジ等も交換・補強出来ます。
    セメンテッド製法の靴:オールソール交換修理
    履きやすい靴ほど、こんな感じで靴底が剥がれてしまい泣く泣く、捨てた経験は皆さんお持ちだと思います。靴底の材料にもよりますが、接着で復活させる事はまず無理です。中には接着だけで履ける様になった方も極少数いらっしゃるかも知れませんが、まず間違いなく2~3回履いたら剥がれます。この様な場合は、当店では靴底交換(オールソール交換修理)をお薦めしています。
    セメンテッド製法の靴:パンク(革裂け)修理
    親指や小指の付け根の外側の革横に裂ける場合がありますが、状態によっては修理できます。(残念ながら縦に裂けたのは直していません)革を差し込んで縫い止め(靴底との固定の為に必要)た状態で、靴底と一緒にマッケイ縫いして強度を確保します。
    マッケイ製法の靴:オールソール交換修理
    皆さんが気付かないだけで、カジュアルシューズにもマッケイ製法の靴は多いです。例えば、CAMPERのラバーソールもマッケイ製法です。履き易いのでついつい糸が切れる・底が割れるまで履いてしまい「修理は無理」と捨てられる方がいらっしゃいますが、底のデザインが多少変わっても良ければ靴底を交換できます。
    グッドイヤー製法の靴:オールソール交換修理(中板交換修理込)
    紳士ブーツですが、中板が割れた状態です。靴の構造上の特性により中板を交換するには、必ずオールソール交換が必要となります。(ここまで出来るとなると、かなり珍しい店です)

    靴健康診断チェックポイント

    靴底のチェックポイント
    本当は穴が開いてからでは遅いのですが・・・靴の製法によって違うのですが、グッドイヤー製法の場合は中の材料がダメージを受けている事が外観からは解りにくく、中の材料と底を全部交換する事になる場合もあります。歩いていて、「何か地面を感じる」と思われたら、早めに修理依頼を御願い致します。また、婦人靴で靴がまっすぐに立たない場合は、緊急の修理が必要です。最悪の場合、ヒールが歩行中に折れてします。
    かかとのチェックポイント
    絶対に削れる部分ですが、土台まで削れているのは異常です。土台は柔らかいので直ぐに、もっと削れます。お客様の中には、土台まで削れて交換できると勘違いしていらっしゃる方も少なくありませんが、土台は元々修理出来ない様に作られている靴が多い事。土台を部分的に修理できないタイプは、土台を全部製作してからゴム貼りとなって、修理代が倍になる事、新しい土台が重くなる事になり、お客様のメリットは何もありません。色の違う部分が出てきたら、そこは土台です。
    グッドイヤ-製法の靴は、ウエルトのチェックを重点に!
    グッドイヤー製法は「頑丈・修理可能回数が多い・足になじむ」と言う事で高級靴に多いです。確かに、質実剛健の靴製法で、靴底交換程度であれば、一般的な修理技能範囲で可能なので、常識の範囲の修理費用で対応出来る店も多いです。しかし、ウエルトが損傷している場合は全く違います。専門店級の腕が必要になるので店が限定される事と、修理代が+¥20,000位増えます。(もちろん、当店も修理できます)この事を理解頂き、ウエルトを靴クリーム等でケアして下さい。
    アッパー(靴の上部)のチェックポイント
    小さなシワが入ったら要注意。慌てて靴クリームを塗るばかりすると、シワに靴クリームが固まってより深刻な状態に発展する事があります。最悪、シワが大きく・深くなり、最後には革が切れてしまいます。まずはシワにならない様に